青あお

パンズ・ラビリンスの青あおのネタバレレビュー・内容・結末

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

“だから少女は幻想の国で永遠の幸せを探した”

1944年、内戦は終わったものの、まだゲリラ戦が続くスペインを舞台にしたダークファンタジーです。

主人公オフェリアは満月の夜が訪れる前に3つの試練を乗り越えなければならなかった。何故かと言うとオフェリアは月の女神の娘であり地下王国の王女であるから。しかし、仮の人間の姿をしたオフェリアは自身が王女である事を証明しなければなりません。そのための通過儀礼なのです。

勿論、ここまでの経緯はオフェリアが苛酷な現実から逃避するために創り出したファンタジー世界です。

しかし、デル・トロは「魔法が現実世界におきるのは現実が残酷であるとき」と言っています。
作中、オフェリアはどんどん空想に依存していきます。
オフェリアの中で現実とファンタジーがパラレルのように存在していたのに、いつしか空想の世界が現実を追い越していくようです。現実が苛酷であればあるほどにファンタジーはより具現化されていく。

いったい、どちらが現実なんだろうか?

ファンタジーこそがオフェリアの現実世界なんじゃないか。
このちょっとグロくて儚くも美しい世界こそがオフェリアにとっての真実、現実世界は虚構に過ぎないんだと。

彼女が信じられる世界は現実世界ではなくファンタジー世界。
だから、僕の解釈ではラストはハッピーエンド。

だって彼女は彼女の夢であるモアナ王女になり魔法の世界で永遠に幸せに暮らしていくのだから。

という、切なくて美しいおとぎ話がこの作品だと思っています。
ちょいグロですけどね、笑。
青あお

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