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パンズ・ラビリンスのcamusonのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
4.8
ファンタジー作品だと思っていたのですが・・・

軍と反体制ゲリラとの内戦の前線が舞台で、
訳あって連れてこられた少女が裏世界にいざなわれ、行き来するという話です。
内戦映画、ファンタジー映画は、それぞれ数多くあるでしょうが、
双方濃密に描写した上で、融合させたところに新味を感じました。

少女のみがファンタジー世界に落ちる構造は、
小説「ふしぎの国のアリス」に近いですが、
軸足をリアル世界に置いているところが異なります。

ファンタジー世界をお花畑ではなく、
虫や蛙、異形がうごめく陰鬱で泥臭く生臭い世界として描いていて、
その過剰なビジュアルが面白いのですが、
現実世界と絡み合ったときに、
マジックリアリズムのような風合いとなるのもまた面白いです。

展開は、ありがちの逆を行くことが多く驚かされるのですが、
奇を衒ったようには感じられず、ごく自然な流れです。
最後には複雑な余韻を残す、よく練られたシナリオだと思いました。

今まで、映画で見てきた鬼軍人の中でも結構レベル高いな彼は。
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