このレビューはネタバレを含みます
木の枝に擬態するナナフシが実は天使ってのがとても好き。人間が嫌いになりがちな虫が実は天使ってところにもメタファーを感じてしまう。あなたが怖い、嫌だなと識別してしまうその相手が実はあなたにヒントを与えてくれる尊い存在かもよ的な。
「無垢なる者の代わりに君は血を流した。それこそが最も重要な最後の試練だった」
「昔むかし大昔のこと、遠く離れた不幸な国に黒い岩でできた巨大な山がありました。日が暮れるとその山の頂上に摘んだ人を不死身にする魔法のバラが咲きました。でも近づく者は誰もいませんでした。そのトゲが猛毒だったからです。人々は死の恐怖や痛みについて話しても永遠の命のことは誰一人口にしませんでした。そしてバラは暗く冷たい山の頂上で永遠の命の恵みを誰に与えることなく人々から忘れ去られ、この世の終わりの時までひっそりと咲いては散っていったのです」