サトタカ

パンズ・ラビリンスのサトタカのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
4.2
主人公の女の子オフェリアは、シェークスピアの『ハムレット』のオフィーリアから来ているのだろう。そう思いながら観たので結末は予測がついてしまった。
内戦で荒れた1944年のスペイン。戦火で父を失い、母の再婚相手は独裁政権の陸軍大尉(自分が生きるためにも、愛娘のためにも権力者側についたのだろう)。母はすでに大尉の息子を身ごもっている。大尉は有害な男性性を体現したようなタイプの上、拷問好きなサディストでもあった。読書が大好きで、妖精など空想科学にも目がないオフェリアは脳内のファンタジーの世界へ入り浸るようになる。彼女が戦場の砦で唯一心を許す相手が家政婦のメルセデス。この名前はモンテ・クリスト伯の元婚約者から来ているかもしれない(適当)。なんにせよ全体にダークな雰囲気漂うネーミングである。
パンやベイルマン(目が手のひらにある異形のキャラ)の見事な造形、全体のライティングや構図、ひっくり返る目玉など賞を取るのも納得のハイクオリティ。デルトロ監督はやっぱりこういう歴史を絡めたダークファンタジー、最高ですね。牧羊神のパンは悪魔っぽくもあり、本当にすばらしいデザイン。

オフェリアは彼女の中の王国で、永遠に幸せだろう。
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