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パンズ・ラビリンスのyoukiのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
4.6
この作品は、奇妙なクリーチャーのデザインなどで毎作ファンから評判を得ている、ギレルモ・デル・トロが監督を務めたダーク・ファンタジー映画。独特な世界観とストーリーで世界中の映画ファンから人気の高い作品で、ポスターだけを見るとティム・バートンのようなおとぎ話系の子供向けファンタジーを連想してしまうが、残酷な描写の多い戦争映画でもあるオンリーワン要素のある映画です。

まず言いたいのは、ポスターを鵜呑みにして「ハリー・ポッターやミス・ペレグリンみたいな映画なんだねえ」と、勘違いしないでください。もっと言うと、この映画を子供に見せるのはかなり危険です。家族団らんしてみるようなものではありません絶対に。なぜならこの映画実は、ダークファンタジーといえども、ダークの部分が強すぎるし、グロイ描写も少なからずあるし、胸糞悪くて見るのがつらくなるような映画なのです。子供が見ると、トラウマになりかねないシーンも多々あります。そこは覚悟をしておきましょう。

しかし、私としてはこの映画は称賛されるべき映画だと思います。素晴らしい映画でした。まずデル・トロが得意とする、ファンタジーの面。不気味なクリーチャーがたくさん今作では登場しますが、どれもリアルで怖いながらも観ていて引き込まれるような魅力を彼らは持っていました。ただ、妖精の形をしている終始オフィリアに付き添ってくれる虫のようなキャラクターがいますが、そのキャラクターだけはCG感満載でかなり気になってしまいましたw

魔法が使えるおとぎの国とつらい現実とを行き来する主人公オフィリアの行方を描いた映画です。ファンタジーと戦争をかけたものすごい新鮮な作品でした。どんなにつらいことがあっても、大切な人を守ろうとするオフィリアは観ているだけで感情移入してしまい、応援したくなるような人物で、理不尽にも立ち向かうその姿はとても心動かされました。

軍人が敵軍のことを拷問にかけるシーンやほかにも妊婦さんが悲鳴を上げるシーンなど、目を覆いたくなる描写もたくさんありますが、逆にそれがこの映画の不気味ながらも美しい世界観と登場人物たちの暗い心情を際立たせているように感じました。少し変わった雰囲気の映画を観たい、カタルシスを感じたいと常日頃思っている人におすすめの映画です。
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