すず

のら猫の日記のすずのレビュー・感想・評価

のら猫の日記(1996年製作の映画)
4.5
マニー(スカーレット)とローは孤児の姉妹。ヤンチャなお姉ちゃんのローは、里親にいった妹のマニーを誘拐して連れ戻し、亡き母親の車で 2人 逃亡の旅をしている。原題の『Manny & Lo』は『Bonnie & Clyde』みたいなニュアンスのノリかな? 空き巣に勝手に宿泊したり、窃盗をしたり、悪いことをして、でも姉妹2人で逃避行を楽しんでいるみたい。しかし、次第にローのお腹が大きく膨らんでくる…。悩んだ末、マタニティショップで目に付いた女性店員のエレーンを誘拐して、ケアさせると言い出したローは…。

大人びて しっかり者で 穏やかな性格の心優しい妹マニー。だけど、独自の一人遊びをやってる姿とか、まだ幼い子供そのもので、母親の面影だとか 家族の愛に飢えている。今でこそ色気ムンムンなスカーレット•ヨハンソンだけど、天使のように愛らしい子役だったことをしみじみと実感。

孤独や疎外感を抱え、行き場も居場所も分からない者たちが、それぞれの心の痛みを理解し、お互いが欠けたものをそっと埋め合おうとするような関係、それって最も理想的な集団であるし、血の繋がった家族であっても簡単に作れるような関係性じゃない。

ジョン•ルーリーが音楽担当してるから何となく観てみたけど、予想以上に好みで素敵な作品だった。孤高のミュージシャンが奏でる、哀愁あふれる 穏やかで温かな音がいい風を吹かせている。ギラギラはしてないけど、内に灯る焔を感じさせるような。

繊細な心理描写、母性愛に溢れていて、愛らしくて、リアルとロマンの天秤にかけて、不安定だけどロマンチック。何だかワクワクするような光景が広がる。いい空気感のロードムービーだ。彼女たちの向かう先に光あれ。


「会う前の人を夢に見たことある? 本当にあるんだよ。 そういう不思議なこと。 いつだって起こる。」
すず

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