三四郎

金環蝕の三四郎のレビュー・感想・評価

金環蝕(1934年製作の映画)
3.7
歌が挿入されるサイレント映画。
清水宏監督は何を撮っても巧い。テンポが実に良い。
みんなみんな良い人ばかり。善人物語。

「あなたの松葉杖になるわ」と言う坪内美子は毎日病室にお花を持ってくる和服の女性。
「松葉杖なんて古いわ。私はあなたの義足になるわ」と言う桑野通子は毎日病室に洋菓子を持ってくる洋服のモダンガール。
メロドラマはやはりこの映画のように、対比が露骨で誇張表現であるべきだ。

モテる主人公と彼を愛する女性の前には、いつも神田が現れる…。おめでたい神田もいい奴故に憎めない。
他人の幸福を想い自ら犠牲になり、涙を呑む女性が現代でもいるのだろうか…。川崎弘子、桑野通子、坪内美子、皆一人の男を巡って涙した。
最後はハッピーエンドと言いたいところだが、もちろん、物語、映画の中ではそうなのだが、坪内美子が可哀想でもある。
桑野通子も愛嬌のある美人だが、川崎弘子はどの角度からどう見ても完璧な麗人だ…。
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