判決前夜 / ビフォア・アンド・アフター
溜まりに溜まったレビュー待ち映画をひとつずつ消化してゆこうと思う。
本作は、リーアム・ニーソン主演、メリル・ストリープ助演による家族の不幸なアクシデントと人の心の弱さを描いた物語だったよ。
息子が犯した過失致死を父親が隠蔽してしまい、取り返しのつかない事態へと進展していくというストーリーだった。
父親と母親との、それぞれの価値観が真正面から激突してしまう展開は、非常にリアリティを感じたよ。
父親は隠蔽を。
母親は事実を。
それぞれが息子のことを思っての選択をするのだが、どちらの心理も理解できるし、隠蔽をした父親を無闇に責める気持ちにもなれなかったな。
むしろ、後先考えずに猛進してゆく母親のほうに、私は少し苛立ったよ。
もう少し熟慮をして欲しいところだな。
人間が人間を裁くための裁判というものは、そもそも正義のために行われるものではないという現実を無視しており、必ずしも裁判で事実を詳らかにすることが正しい選択という訳ではないのだから、母親の猪突猛進ぶりは、少々目に余る姿だったよ。
その意味においては、父親の無念さも分かるよ。
ただ、最終的に全ての事実を明かしたことにより、息子本人にとっては、服役はするものの、務めを終えた後の人生は、隠蔽し続けた場合のそれとは全く異なるであろうことも容易に想像がつくよ。
金はかかっていないながらも、なかなかに見応えのある映画だったように思うよ。
見る人によって、息子の目線、父親の目線、母親の目線と、それぞれ異なる目線で観ることになるであろう。
私は間違いなく、父親の目線で全てを観ていたようた思うよ。
いずれにしても、良い映画だったよ。
ありがとう。