はるな

クンドゥンのはるなのレビュー・感想・評価

クンドゥン(1997年製作の映画)
4.0
『セブン・イヤーズ・イン・チベット』に続き鑑賞。2作に共通して感じたことは、チベットの町並みや人々、文化、ヒマラヤ山脈、すべてが美しいことと、それを一方的な理論で凌辱する中国のおぞましさだった。

本作では、チベット市民の子として生まれた男の子がダライ・ラマの生まれ変わりとして選ばれ、幼年期、青年期を経て法王としての激動の20年を歩む様子が描かれる。

こういう伝記ものだと大した筋書きもなく事実を追うだけの展開になりがちだが、この作品には、「普通の男の子が親元を離れ、人々に尽くし、守る法王に成長するまで」という背骨が一本通っており、物語としても楽しめるようになっていた。

特典映像で「映画の効用はなんだと思いますか?」と問われた監督が「物語を通じて共感し、登場人物が得た感動や哲学的な体験を追体験すること」と答えていたが、まさにその効用をとても得られる作品だったと思う。

音楽もすごく良かった。残虐なシーンはほとんどない(あっても夢の中のシーンとかで、一瞬で終わる)ので、安心して見られる作品だと思う。

印象に残っているのは、子供のダライ・ラマが、先代のダライ・ラマの持ち物を「これ僕のだ!」と言って当てていくシーン。流石にそれはできすぎと思ったけど、物語を盛り上げるアクセントになっていて単純にちょっと興奮した。

中国がチベットに侵攻したのは「帝国主義からチベットを守る」って名目だったことを知り、もしそれが本意だったとしても押し付け甚だしいと感じた。
はるな

はるな