ぽち

クンドゥンのぽちのレビュー・感想・評価

クンドゥン(1997年製作の映画)
3.0
倒れた僧侶たちの中心に立つダライ・ラマのシーンをはじめとして、目を見張る映像は素晴らしく見所。

ラストに向かいファンタジーと呼んでも良いぐらいの言葉を排した映像と音楽での盛り上げも凄い。「2001年~」ほどではないがトリップ感覚を味わえる。

さて、個人的に興味がわいたのが「生まれ変わりを探す」システム。
偶然だろうが宗教的政治的指導者を選ぶのに良いシステムではないだろうかと思えた事。

勿論その子供が生まれ変わりかどうかと言う事はどうでもよく、素材として凡人程度ならOK。連れて来て徹底的に宗教政治を叩き込み指導者に作り上げる。
下手に野心満々の政治家や俗っぽい僧侶がなるよりも、純粋培養で正義や善意に満ちた世界を妄想できる人間の指導者は貴重だろう。

ま、でもそのおかげで他国に漬け込まれ蹂躙されたんだけどね。
ユートピアを作るのならこのような指導者が理想的。それかAIだな。

それと毛沢東の「宗教は毒」説。
今作では中国=悪という構図とダライ・ラマ中心に描かれているので、彼の人生を否定するような言葉に聞える。
それに演出的にも嘘つきの悪賢いおっさんが、青年を脅しあげているような感じだった。

でも基本的に「宗教は毒」って間違いじゃないんだよな~。特に十字架系の宗教は。
仏教はまだ哲学の比率が大きく存在価値を見出せるが、ビジネス化した宗教は毒と呼ばれてもしょうがないだろう。

余談。
きっと、生まれ変わりを探している人も、その信者も心底それを信じているわけではなく、イベントとして理解しているんじゃないだろうか?
って邪推してしまうんだけど・・・・・・

だって、本当に信じていたら、生き残るために亡命する必要も無いよね。殺されても生まれ変わるんだから「ちょっとタイム!!待ってて、あの世いってくるわ」ってノリでいけるじゃん。
ぽち

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