HidekiIshimoto

クンドゥンのHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

クンドゥン(1997年製作の映画)
5.0
同じくスコセッシ監督作、同じく宗教映画、そして同じく仏教とゆかりの深い国のはずなのにキリスト教といえばクリスマスパーティー程度、なのに『沈黙』と比べるとレビュー数が二桁も少ないこの素晴らしい伝記映画について書きたい。まずスコセッシ作品としてもこっちの方がずっと好きだしこれを撮ってくれたことに心から感謝する。それでも信じるという宗教的苦悩もロドリゴの背負った万倍の重さを実在のダライ・ラマはただ独り逃場もなく背負わされ、今なお実在しながらチャイナの暴虐も恨まず笑顔で世界平和のため奔走している。『沈黙』では日本側がどれだけ惜しみなく協力したかは容易に想像できるけど、彼の地でアメリカ人のスコセッシがどうやってこれ撮れたのか不思議なくらいこの映画は崇高な輝きを放っている。と思う。個人的にはいかなる宗教も持たないけど『沈黙』でも言われるように哲学としての仏教は現在でも生きる指針の一つとして植民地主義の手先に利用されたバテレンよりは有効だと思う。