ミッキン

ほとけのミッキンのレビュー・感想・評価

ほとけ(2001年製作の映画)
3.8
80年代ATG作品の香りを漂わせるシュールな破滅的映画。
主演がマイナーな役者だったら2001年公開作品とは思わないだろう。

小説『母なる凪と父なる時化』でも描かれていた密猟から話は始まる。
とにかく暗い。話も、テンポも、音楽も。
ちょっと足りない塞ぎ込んだ青年が主人公。武田真治の演じ方がいい。

ロケ地は函館。船員会館や不良達のアジトなど味のある寂れた場所がチョイスされている。アングルやカメラワークも辻監督らしさが如実に出ている。

鉄クズ製の仏に『スワロウテイル』っぽさを感じたのでエンドロールで美術監督を確かめたらやっぱり種田陽平だった。

終盤のバイオレンスなシーンはそこまで描く必要があったのか?
前半が淡々とした、抑揚のない展開だっただけに唐突感極まりない。抑制からの解放として一気に爆発させたかったのだろうけど、見終わって結局そこしか残らなかった。

津田寛治がカッコいい。そっか、20年前だもんな。