アニマル泉

セリーヌとジュリーは舟でゆくのアニマル泉のレビュー・感想・評価

4.5
リヴェットのガーリッシュな長編。冒頭からセリフなしのセリーヌ(ジュリエット・ベルト)とジュリー (ドミニク・ラブリエ)の尾行場面が続く。ケーブルカーに乗るセリーヌをジュリー が階段を駆け上がって並走する場面が面白い。セリーヌは物は落とすは、万引きお構いなしの不良娘。ジュリーはアクティブ、図書館で働く。セリーヌがジュリー の図書館の絵本のページを破って胸元に突っ込むガサツさが可笑しい。
ジュリーは赤、セリーヌは青と黄色だ。「赤」と「青」はリヴェットの重要な色である。本作でも
この二色は様々に変容していく。二人の色が入れ替わり、劇中劇のカミーユ(ビュル・オジエ)とソフィー(マリー=フランス・ピジエ)も「赤と青」になり。そして「赤」は血の赤へ繋がる。インテリアの壁の色も素晴らしい。青い浴室は印象的だ。
「階段」「梯子」「坂」が頻出する。「高低差」もリヴェットの十八番の主題だ。図書館から本を盗み出したセリーヌとジュリー がローラスケートで坂を登るのも可笑しい。
リヴェットはあらゆるジャンルを詰め込む。ジュリーになりすましたセリーヌがジュリー の恋人ギルと公園でデートするミュージカル場面には唖然とした。
セリーヌは手品師でジュリー は魔術についての赤い本を愛読している。「魔女」もリヴェットの重要な主題だ。
犯人探しの謎解きではなく、物語を作りかえて救出劇=冒険にしたのが素晴らしい。
ジャンプカットや黒コマが多用される。劇伴奏は抑制されている。
猫と水槽の魚。ジュールが見た猫がセリーヌになったようにも見える。全てはジュールの妄想と魔法か?母への憎しみもテーマ。
物語が反復される。
二人はドッペルゲンガーという見方もあり。
劇中にブラッディメアリー。
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