TaiRa

セリーヌとジュリーは舟でゆくのTaiRaのレビュー・感想・評価

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何から何まで狂ってるのが最高な映画。ジャック・リヴェットがぶっ飛んでたのは分かった。

『不思議の国のアリス』よろしく、急いでる人追い掛けてたら色々あって異界に入る映画。セリーヌとジュリーが偶然の出会いから友だちになっていくのと、屋敷の謎が振られるのが映画の半分くらい。とにかく長いのに本題が何か分かんないままふらふらと進んで、ある段階で急に話が進む異常な話。飴を舐めて屋敷の事件を幻視するのと並行して、他者を演じることの話が差し込まれていく。最初の幻視は単に観賞でしかなく、一方的に用意された「物語」を楽しむだけになる。二人は「物語」の続きを求めつつ、結末の書き換えも企み始める。ここから演じることの話にもなっていく。先んじてセリーヌはジュリーに、ジュリーはセリーヌに成り代わり、「物語」への出演時は配役もダブルキャスト体制に。二人とも役者である。「物語」に入ることや他者に成り切ることの、元来持つ遊戯性をこの上なく謳歌している二人が楽しそう。幽霊と芝居を演じるギャル二人組という異次元な発想はどこから来るのか。飴が切れたから図書館へ忍び込んで魔術書を元に、幻視ジュースを作るとこも展開がヤバい。「物語」と「現実」の境界を超えて、世界が撹乱していく様は不気味だし、結末における無限ループ構造は「これは映画である」という自己言及でもあり、同時に彼女たちが観ていたループする「物語」の中に、彼女たち自身が閉じ込められたという感じもしてゾワッとした。
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