スギノイチ

アレンジメント/愛の旋律のスギノイチのレビュー・感想・評価

アレンジメント/愛の旋律(1969年製作の映画)
3.5
巨匠エリア・カザンがニューシネマ時代に撮った暗黒ホームドラマ。
ミドルエイジ・クライシスに陥り、未だに父親の呪縛から逃れられず、若い愛人(フェイ・ダナウェイ)の乳を揉んでセックスをせがむ情けない白人中年をカーク・ダグラスが演じる。
その姿に、かつて西部劇や史劇で見せた精悍さはない。
サレ妻デボラ・カーも哀れに肥えていてこれも憂鬱。

若手作家のような実験的演出も多く、それでいて憂鬱になる歪んだ映画。
盟友バート・ランカスターの『泳ぐひと』よりだいぶ知名度が落ちるのはその口当たりの悪さもあるか。
精悍な見た目に反し、神経質で自己中でセックス依存的なカーク・ダグラス。
この人物像が妙に既視感あるなあと思ったら、マイケル・ダグラスだわ。
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