ぶみ

阪急電車 片道15分の奇跡のぶみのレビュー・感想・評価

阪急電車 片道15分の奇跡(2011年製作の映画)
3.5
終着駅は、きっと笑顔。

有川浩が上梓した連作短編小説を、三宅喜重監督、中谷美紀、戸田恵梨香、宮本信子等の共演により映像化した群像劇。
阪急電鉄今津線の乗客が織り成す様々な物語を描く。
投稿はしていなかったものの久々の再鑑賞であり、原作は未読。
阪急今津線の乗客として、前述の三人に加え、南果歩、谷村美月、有村架純、芦田愛菜、勝地涼、高須瑠香が演じているほか、小柳友、相武紗季、鈴木亮平、 大杉漣、安めぐみ、森田涼花、玉山鉄二等が登場。
物語は、中谷演じる婚約を破棄された女性、戸田演じる彼氏のDVに悩む女子大生、宮本と芦田演じる祖母と孫、有村演じる受験を控えた女子高生、南演じるママ友との付き合いに悩む主婦、谷村と勝地演じる我が道を行く大学生、高須演じる小学生の7つのエピソードが今津線の乗降を鍵として綴られ、徐々にそれぞれが重なっていくという群像劇のスタイルで展開。
特に冒頭に描かれる、婚約破棄された女性のエピソードのインパクトたるや抜群であり、その話だけで一本作品が作れそうなもの。
また、今から12年前に公開された作品であるため、戸田がギャル女子大生、有村が女子高生を演じているのも見逃せないポイント。
加えて、本作品では小学校低学年で、まさに少女と言える芦田なのだが、後に狩山俊輔監督『メタモルフォーゼの縁側』で主演となる宮本と芦田のコンビが、既に本作品で共演していたのも、感慨深いところ。
私的には、先ほどの中谷や、戸田のエピソードが面白かった反面、谷村と勝地の物語が、若干出来過ぎで、かつアニメが挿入されたりと、少し浮き気味だったのが気になった次第。
一本の路線を軸に、乗客繋がりで、同じ場所、同じ時間を交差させていく脚本が見事であり、時にスカッと、時にほっこりと、様々なエピソードに癒やされるとともに、今をときめく俳優陣の若かりし姿に目が離せなくなる一作。

悪くないよね、この世界も。
ぶみ

ぶみ