TaiRa

ワン・フロム・ザ・ハートのTaiRaのレビュー・感想・評価

ワン・フロム・ザ・ハート(1982年製作の映画)
5.0
平凡な男と平凡な女。華のないカップルと書き割りのラスベガス。濡れた路面を男と別れた女が去って行くと、独立記念日の花火がまるで彼女の独立を祝うかのように空に上がる。2人はそれぞれ映画のような新たな出会いを迎え、街の人々は彼ら彼女らを祝福し踊り出す。この世界の光はすべて、この2人を照らすために存在し、この世界の色はすべて、この2人を染めるために存在し、この世界ではいつも、トム・ウェイツとクリスタル・ゲイルが2人の心を唄っている。

1.37:1のフレームに映せる情報量の最大限まで詰め込んだストラーロの色の祭典。何処から何処まで撮り続けるのか分からない、場所と時間を超えたロングテイク。何処と何処が繋がっているのか判別し切れない巨大なセット。とても素面で撮ったとは思えないカラフル・ラブロマンス・ミュージカル。話がめちゃくちゃミニマムな痴話喧嘩なのもスーパーヤバイ。Classical Hollywoodへの回帰で、New Hollywoodを終わらせたというのが味わい深い。
TaiRa

TaiRa