囚人13号

チャップリンの移民の囚人13号のレビュー・感想・評価

チャップリンの移民(1917年製作の映画)
4.0
デビュー後三年間の集大成。

チャップリン自身が移民であり、自由の女神を象徴的イメージから脱却させる残酷さ。金のために拳銃を握り、しかし弱者にはそっと寄り添う紳士的イメージは1915年の時点である程度完成されていたが、そこに見受けられた若干の下心が『移民』では完全に排されている。
自由の女神を縛られながら眺めるしかないアメリカ、無銭飲食者は徹底的に叩きのめされるアメリカ、しかし生きてさえいればチャンスは掴めるアメリカ。監督の実体験が克明に反映されている物語にはある程度の信憑性と感動が見い出せるし、持ち前のペーソスがレストランにおける小銭を巡るサスペンスと支払いについてのウエイターとの心理戦を際立たせる。
二人の未来は明るい…のか?
囚人13号

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