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夏の遊びのCookieMonsterのレビュー・感想・評価

夏の遊び(1951年製作の映画)
3.8
スターとなったバレリーナが開演前日にかつての恋人の日記が届いたことで過去を回顧する1日を描くベルイマンの初期作

青春時代の奔放さや瑞々しさが夏の眩しさと共に描かれている
男女における老いの差異や仕事観も含まれていて、この時代としては性差に対して意識的な作品
「バレエと俺のどっちが大事なんだ?」
なんて女性に言わせることが多い台詞を男に吐かせるあたり、旧来的なジェンダーロールを意図的に入れ替えている
主人公の同僚バレリーナが28という年を憂い、女性は年齢と共にその価値を下げるような描写があったり、主人公の焦燥の中に男性は現役を退いても指導者の道があるが女性は終わりだという描写は最たるところ
制作時期を鑑みても先進的なテーマ設定の上に展開される恋愛劇
仕事を始めたばかりで恋愛への関心が低く、恋愛市場価値の高い若い頃
仕事が充実するも女性としての性的魅力の衰えを感じる30間近
女性が感じていた変わらない難しさを思わせる

そういった時代的背景や社会史的な価値を抜きにしても、この作品は単純に美しく、タイトルの通り真夏の陽光の眩しさが立ち昇る観る価値のあるものだと思う
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