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肉体の悪魔のsのレビュー・感想・評価

肉体の悪魔(1947年製作の映画)
4.5
高校の頃読んだ思い入れのある小説の一つであるラディゲの『肉体の悪魔』の映画版。ジェラール・フィリップのドSイケメンっぷりに悩殺されまくる。再会後のベッドシーンで、ベッドのヘッドボードの格子越しに二人の交わりを写しながら暖炉の炎へと移動するカメラが良かった。この手法は映画の最後の方にもう一度出てくるのだけれど二人の愛の終わりのメタファーとしての炎の演出がなんとも切ない。)暖炉の演出自体ちょっと古臭さがあるんだけれどこの映画はそれでいいなと思える)
随所に挟まれるマルトの葬式のシーンは終戦後という時期もあり参列者や市民が悲しみに耽る様子はなく、その様子を遠くから眺めることしかできないフランソワの悲嘆が痛いほど対比的に切なく映し出される。国民皆が待ち侘びる終戦は二人にとっては愛の終わりであるという残酷なアイロニー。
「あの人と幸福でいるよりは、あなたと不幸な方がマシだ」
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