Pinch

ラストデイズのPinchのレビュー・感想・評価

ラストデイズ(2005年製作の映画)
4.0
「人生が物語と違うのは悲しいわ。同じだといいのに。明確で、論理的で整っていてほしい。でも違うわ」(『気狂いピエロ』より)

彼の夭折は前もって彼の作品の中に記されていたと思う。だから極めて自然なことだった。あまりに自然すぎて衝撃だった。かようにロックスターとしての一つの物語が成立するわけだ。だが、生身の人間の内部ではそうではない。普通に生きられなくなった人間が命を絶つ行為は、残念ながら日々数え切れないほど起こっている。そういうものとして、彼の人生の終わりを突き放してさりげなく描いた点で、この映画は斬新だ。

生きることと死ぬことは、誰にとっても容易ではないよな。アメリカでも日本でも生きにくさと悲惨な最期が増す今、彼の惨めな姿は象徴的な意味で我々の姿でもあると感じた。
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