てんびん

僕はラジオのてんびんのレビュー・感想・評価

僕はラジオ(2003年製作の映画)
4.4
 僕みたいに心が歪んでいる人間には全く刺さらないかクリティカルヒットするかの二択になる。見るタイミングにもよるのだろうけど、今日の僕の芯を捉えた。
 とは言っても、最初から面白かったわけではない。なぜ主人公が知的障害者のラジオにそこまで親身になるのか分からなかった。悪気はないとはいえラジオは周囲に迷惑をかけることも多いのに、主人公はラジオの面倒を見続けた。当然反発もあり、主人公の評価も下がってしまう。理由もなく正しいことを続ける主人公に共感はできない。性根の捻くれた僕は「いい話だなー。僕には真似出来ないわ」と引いた姿勢で見ていた。
 しかし、物語後半に主人公がその心情を吐露するシーンで一気に主人公に共感を覚えるようになった。その感情ならすごく身近なものだ。それを実行できるかどうかは別にして。
 主人公の取った行動は善行だけどそれが善果に繋がるかどうかは分からない。作中でも全肯定はされていない。ただ主人公と、ラジオを虐めていたジョニーの行動から、過ちを犯しても償うことができると示唆している。
 そして最後に、この作品が事実に基づいた映画だということが問答無用の説得力を持つ。最後、実在のラジオがチームフラッグを突き破って入場するシーンで涙がこぼれた。
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