花とみつばち

秋津温泉の花とみつばちのレビュー・感想・評価

秋津温泉(1962年製作の映画)
4.5
秋津、津山が舞台( 実際は奥津 )
秋津荘の女将の娘 17 歳のシンコ。
戦中戦後の シンコ 34 歳までが描かれる。そこに流れてくるシュウサク。肺を煩い人生に絶望して秋津にやって来るが、シンコの天真爛漫な性格に助けられる。しかし病弱なシュウサクをシンコは誠実な男性と勘違いしたのか、一生懸命世話をするうちに深い仲となるシンコとシュウサクだが、やがてシュウサクは健康になるにつれてただの堕落する人間と成り下がる。それとは対照的にシンコの天真爛漫は徐々に失われ、シュウサクに夢中になりのめり込む。
シンコに離れも近付きもしないシュウサク、それに期待して絶望するシンコ。

シンコ役の岡田茉莉子が、シュウサクを重く思い込む女の姿と変貌ぶり、そしてシュウサク役の中途半端な二枚目長門裕之の不誠実な表情が両者共実に上手い。

自殺願望の強い身勝手な男性に翻弄され、結局自殺願望に感化されてしまう。

全編古風な映像が見事に美しく、秋津の旅館、桜、渓谷と渓流の風景が作風と見事にマッチしている。
花とみつばち

花とみつばち