荻昌弘の映画評論

ラスティ物語の荻昌弘の映画評論のネタバレレビュー・内容・結末

ラスティ物語(1949年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 当節おさかんのワンワン・ショウの一つ。週給五百ドルのシェパアド、ラスティ君が、ちと足りない飼主共のために苦労されるお話である。
 五百ドルの偉容を誇示するためとあって、まわりの人間を全部オッチョコチョイに仕立てた所が健気にもまた浅はかなミソであるが、中頃ともなれば、この揃いも揃ってお先ッ走りや得意勝手に生れついた人間共が、犬などそっちのけで頓間な芝居を始めるシマツだから、ラスティ君は所在なく寝そべってばかりいる次第だ。
 われわれは“名犬”を観に行ったのであってかりにも、犬に生れ変わったらサゾ駄犬であろうという人間を見たかった訳ではないのである。
『映画評論 7(6)』