もめん豆腐

女殺油地獄のもめん豆腐のネタバレレビュー・内容・結末

女殺油地獄(1992年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

これもずーーーっと観たかった映画。ありがとうGyaO。観たかったくせに近松門左衛門の浄瑠璃とは話が違うことも知らなかったけど楽しめた。
ところどころ、この時代の身分差を飛び越えて樋口可南子さん演じるお吉があちこちに説教に出張る場面に「はて?」と思わざるをえなかった。まあ、藤谷美和子さん演ずるこいさんに説教に行かずば、二人の格差と女の鍔迫り合いによる戦いの見どころはなかったから、仕方ないのか。それにしてもただの奉公人あがりが説教し過ぎ。こんな老害にならないように気をつけねば。それにしても藤谷美和子さん、かわいい。今でもかわいいんだろうな。
夫も妻の与兵衛への執拗な執着になんとはなしには気づいているが、まさか妻側が男として執着しているとは思っておらず、妻に何かがあってはいけない噂をたてられてはならないと注意しているのに、まさかまさかの「お前のセックスでは感じんのじゃボケ」と思われてるなんてつゆとも知らず。このすれ違いをうまく表現できてたと思う。
しかしまぁ、昔の、木で出来たうっすい壁とも呼べぬ壁の掘っ立て小屋で致せるもんだと感心した。
このお吉、自分が世話になった家の息子を自分の性のはけ口にしようとするあたり、なかなかの勘違い。で、そういった突き抜けてるヘキがあるクセに、出奔するほど突き抜けきってはおらず、中年の、若さは利用するが自らの痛みを伴う(例えば安定した生活を捨てたくない等)ことはしたくないというズルさを見せている。
だいぶオツムの足りない与兵衛でもそこは勘づいたようで、そんなこんなの油の地獄。そこまで気づけたのなら磔獄門島流しにあうようなマネはしなきゃいいのに、と思ってしまうのは常人だからだそうで、この一線を乗り越えちゃう人はそんなことは考えないらしい。
ところで、五社監督は苦手だけれど、これはそれなりに見ごたえがあった。
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