垂直落下式サミング

ゴジラVSモスラの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ゴジラVSモスラ(1992年製作の映画)
4.3
隕石墜落の衝撃によって目を覚ましたゴジラ。一方、南海のインファント島でモスラの卵が見つかる。日本へと輸送されていた卵だったが、突然ゴジラの襲撃をうけ、卵から孵化したばかりの幼虫モスラがゴジラに立ち向かう中、日本海側からは黒い破壊の昆虫怪獣・バトラまでも姿を現し、戦いに加わる。
昔持ってたソフビのゴジラは、VSモスラバージョンだったから、小顔で逆三角形みたいなマッチョ体型は親しみやすい。
昔みたインディ・ジョーンズのパクリみたいな邦画ってなんだったっけと、長らくタイトルの思い出せない映画だったんだけど、まさかのゴジラシリーズだった。灯台もと暗し。
主役の別所哲也さんは、あんま有名俳優じゃないし、役柄もムカつく人を演じているので印象が薄いが、小林聡美さんや村田雄浩さんが出ている!芸達者がドラマを支えているから、退屈になりがちな怪獣以外のパートもなかなかみれる。
バトラの幼虫が名古屋を襲撃するシーンは、言わずもがな『モスラ対ゴジラ』のオマージュカット。名古屋城とテレビ塔はお決まりですね。よく見ると、手前にエキストラに混ざって逃げる川北紘一特技監督の姿も確認できる。バトルモスラでバトラっていうネーミングの安直さもいい感じ。鳴き声がラドンに似ている。
他にも、嵐のせいでインファント島の岸壁が土砂で削れて休眠していた卵が姿を表すところとか、幼虫モスラがゴジラの尻尾に噛みついて攻撃するところであるとか、巨大芋虫がビルを破壊して進んでいくところ、国会議事堂で繭をつくるなど、昭和モスラへのオマージュシーンは多い。
平成モスラの毛並みは、ある程度予算も潤沢でこれまでのノウハウの積み上げもあるから、室内犬みたいにキレイな仕上がり。うーん…。外飼いの雑種犬みたいなだらしなさは、昭和じゃないと出せないパンチの効いたデザインなのかしら。
もふもふ感は過去最高に整っているから、ゴジラと組み合ったときに悲壮さがないけれど、全体のフォルムとしては、もうちょいヨレッとしてる昭和モスラのほうがかわいいと思う。
そして、平成ゴジラの見物といえばナイトシーン。美しい横浜の夜景を背景に、成虫となったモスラとバトラが空中戦を繰り広げている中、ゴジラが現れ、三竦みの怪獣の戦いがおしゃれシティみなとみらいで繰り広げられる。
一番よかったシーンは、大手ゼネコン社長の大竹まことさんが、怪獣の襲来をうけて「壊せ!もっと壊せ!!この町は俺が新しく作り直す!!」ってビルの上層階から言うところ。超格好いい。スクラップ&ビルドを叫ぶ。明らかな非倫理、明らかな不道徳、なのに気持ちがいいくらいに明朗。ロックンロール。