ばーとん

月曜日のユカのばーとんのレビュー・感想・評価

月曜日のユカ(1964年製作の映画)
1.8
貞操観念の欠如した天性の娼婦、頭のネジの緩んだ白痴のような女ユカ。こいつは典型的ファム・ファタールで、この手のキャラクターは最後には非業の死を遂げるものと相場が決まってるんだけど、ユカの場合は死ぬどころか、二人の男を死に追いやったあげく、自らは悠々と街に消えていく。マノン・レスコーや女優ナナのように運命に罰せられることなく、自覚なき殺人者が当然のように野に放たれるホラー的世界。

ここにキリスト教的な訓示は存在しない。(あるいはアンチ・キリスト教的な諧謔すらも) ユカがキリスト者だという設定に思想的必然性は無く、スタイル主義による単なるガジェットに過ぎない。言ってしまえば無思想が生んだ、中身からっぽ究極のオシャレ映画なんだが、この無節操な感覚が中平康らしいっちゃらしい。
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