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美女と野獣のdiesixxのレビュー・感想・評価

美女と野獣(1946年製作の映画)
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「美女と野獣」の映像化としては最も古い部類だが、野獣の屋敷の豊かなイマジネーションは今見ても色褪せず、世界観としては未だにコクトー版にとどめを刺す。野獣の特殊メイクや不気味だがセンスオブワンダーに満ちた美術がよくできている。野獣がベルを抱き抱え、部屋に入るとドレスが変わっていく描写やベルの首飾りが姉の手に渡ると枯れ木に変わり、また手放すと真珠に戻る場面、手袋を使って自宅に戻る場面など単純なトリック撮影だが、アイデアと編集の上手さで、結構驚く。ベルが野獣の屋敷を初めて訪れ、揺れ動くカーテンの中を歩く場面や野獣に飲み水を与える場面、財宝が隠された小屋のスノードームのような描写なども息を呑むほど美しい。
ベルが野獣への愛情を伝えるより先に人間に戻ってしまうため、美醜と愛をめぐるテーマが有耶無耶になってしまった点だけが残念だが、それでもディズニー版(アニメでも実写でといいが)と双璧をなす決定版として、ぜひ多くの人に見ていただきたい名作。
U-NEXTには4K修復版があり、画質も良好でおすすめ。
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