Hachi

籠の中の乙女のHachiのレビュー・感想・評価

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
4.5
「哀れなるものたち」を観たあとに鑑賞。

ビジュアルだけ見ると「ひなぎく」っぽいガーリームービーみたいにも見えるし、映像自体は白基調の明るいトーンで、舞台となるおうちも大きな庭とプールがあり美しい。
なのにテンポ感や喋り方、そして全体を覆う閉塞感と、起きていく出来事が終始不気味な雰囲気で最高。

性や殺傷に対する感覚がピュアすぎるゆえに猟奇性を帯びている点、ダンスでの感情表現など、この時点で既に「哀れなるものたち」に通じるところもあった。

プッシーを大きなあかり、ゾンビを小さな花だと教えるなど、学ばせたくない言語を他の意味に置き換えて教育するという設定が面白かった。名前というのは一つのテーマにもなっていて、妹1は自分のことをブルースと呼ばせる遊びを始めたりする。何のメタファーなのかしら…

ネコについて、人を襲う恐ろしい猛獣と説明するところ面白かった。

兄の性欲処理に何の疑いもなく使われ、そこから大きく狂う妹1、欲しいものを得るために他人の身体を舐めると学習した妹2…みんな静かに狂っていく。なんの疑いもなく忠実な飼い犬のように吠えるしかない母・兄・妹の最後の姿がおそろしかった。
最後の無駄に長いあのシーン、ここで終わるんか…というドライな終わり方がまた良かった。
Hachi

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