みーすけ

籠の中の乙女のみーすけのレビュー・感想・評価

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
4.3
ランティモスの初期作をやっと鑑賞。
頭ぐるんぐるんしちゃったよ。
ギリシャ郊外で父親の教育方針により外界から隔離され育った兄姉妹。
兄の性処理のため来訪した女性とのふれあいが彼らの心身のバランスを狂わせる。
汚れた外の世界から家族を守るという突飛な父親の思想。賛同する母親。
子供たちに与えられる一般とは縁遠い『嘘の教育』は家庭内では通じても一歩外に出ると意味を成さない。
危ういバランスで保たれていた子供たちのマインドは思春期を迎え崩れだす。
滑稽な情景が淡々と描かれ、なんだこれと失笑していたのが、どうするこれと戸惑い、マジかよこれ
と恐怖に変わる。
ほんとに怖い。
特に長女のダンスめちゃ怖い。
嘘の常識を植え付けられる怖さは政府の嘘に国民が騙された歴史も(ナチやカルト国家)現在の独裁国家も(近隣国家)同じだし、詐欺政党からいいように税金詐取されている今の日本も同じ状況でしょと暗澹となる。
観客に解釈を丸投げする後味の悪いエンディングが既に本作からか!とある意味感動。
新作の『哀れなるものたち』はランティモスの拗らせがかなり映画的に昇華されてるのだなと改めて感じた。
だけどわたしは拗らせた大人なので、ダントツ本作の方が好きよ。
みんな犬歯を折って外の世界に旅立とう!
みーすけ

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