ちゃあさん

籠の中の乙女のちゃあさんのネタバレレビュー・内容・結末

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

再鑑賞。
やっぱり傑作と思う。


狂気の父親が支配する"家庭"という独裁国家を、ヨルゴス・ランティモス監督の独特の意地悪さで描いた基本的にはコメディだと思います。



ネタバレ⤵︎⤵︎

人としてではなく(そもそも名前も与えられていない)いわば犬として躾を施され、完璧に洗脳された兄妹三人。操る父親。ネジのはずれた母親。
閉ざされた空間で情報を制御し、従順に従えば褒美を、逆らえば体罰を与える。(マウスウォッシュの刑はワロタw)

兄が壁に向かって喋ったり長女がパンケーキを壁の外に投げていたシーンがあったので、おそらくもう1人過去に死んでしまった兄がいたのだろう。
その後、父親は自作自演で兄は"猫"に殺されたと嘘をつき、軽く葬式までしているw

思春期を迎えた長男にあてがわれた父親の同僚クリスティーナが家にやってくるようになり、その影響で徐々に兄妹の様子は変わり始める。
特に好奇心旺盛な長女は、彼女からビデオで「ロッキー」「ジョーズ」を借りて影響を受けてしまう。。
(後半のシュールなダンスシーンを見ると「フラッシュ・ダンス」も借りていたと思うw)
父親に見つかりこっぴどく叩かれる長女とクリスティーナ。めっちゃ痛そうだった😱
ビデオデッキで殴るとは…😭

しかし一度火のついた好奇心は抑えられず、長女は「犬歯が抜けたら自立できる」と聞かされていた通り、ダンベルで自分の犬歯を砕き、父親の車のトランクに隠れる。
無事家の外に出ることのできた長女だったが、トランクが開く事はなく映画は終了。。
はたして長女はトランクを開けて逃げる事ができたのか?見てる側に委ねられる。
この辺が非常にうまいし意地悪w

自分は長女はそのまま家に帰ってしまうと思います😣
おもちゃの飛行機を家の外で取るのも車からは出なかったし、外の世界に足を着くという認識がもともとないと思うから。😭


原題はdogteeth(犬歯)なので、本作に限って言えば犬歯が抜けるという事(永久歯だから抜けない)は自由を勝ち取るという意味(自立する)もあるから、そのままでもよかったと思う。


興味深かったのは、実は子供達は何も教えられなくても自由を求めていたのではないかという点。
人間は全てを奪われても自由を求める生き物なんじゃないかなと思いました。


パステル調の淡い色使いも◎