とぽとぽ

オーソン・ウェルズの オセロのとぽとぽのレビュー・感想・評価

4.0
時を超える天才×天才"巨人"たちの組み合わせは流石に面白かった

伸びる影、闇の中から浮かび上がる目。建物や人物を捉えるモノクロならではの陰影の際立った撮影が、オーソン・ウェルズ自身が演じるオセロ(熱演!)がイアーゴの策略にまんまと嵌って猜疑心が膨らんでいくさまを、角度のつけたカメラワークやエネルギッシュで勢いのある編集とともに不安定さを持ってして演出する…。この鬼気迫る圧巻の熱量には否定し難いものがあった。ファーストカットや冒頭からずっと凄いのだけど、題材への堅苦しいイメージや苦手意識に加えてナレーションによる語りもあって、どうしても気が張ってしまう部分があった。しかし、それも束の間で引き込まれていった。美しい構図と迫力のいいとこ取り。サスペンスフルでスリリングでダークな闇にかくも魅惑的に堕ちていく、愚かで深い愛が心を乱す。
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