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ジプシー 風たちの叫び/私の愛した魔女のHKのレビュー・感想・評価

3.8
ボブ・ホスキンスの初監督作で、ホスキンスが幼い頃に祖母から聞いたロマについての古い伝説にヒントを得て作られた戦争寓話。原題の“Raggedy Rawney”は、ボロを纏った狂女の意味だが、死ぬのは嫌だ!と脱走した新兵が遭遇した少女は戦争で家族を失いおかしくなっていた。兵士を見付けた少女は母親のボロを彼に着せ、化粧を施し、兵士はロマの間で信じられる“ラジディ・ローニー”と成る。釣りをしていてローニーを見付けた!と思い込んだロマのホスキンスは彼を仲間に引き入れ、行動をともにするが・・・。ホスキンスのダチばかりで構成されたキャスト(イアン・デューリーも出ている)は温かい仲間の雰囲気が濃厚で、それだけでロマの一行を感じさせる。ゆえに、ただ放浪している彼らにまで迫り来る最低な事態には怒りを通り越した悲しみしか湧かない。戦争を描かない戦争映画の佳作。仕方なく彼らが銃を取るに至るのは、自分の子供を守るためだった。
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