らんらん

いれずみ半太郎のらんらんのレビュー・感想・評価

いれずみ半太郎(1963年製作の映画)
4.5
博打で10両の負債を抱え込んだやくざ者半太郎(大川橋蔵)は年老いた母を残し江戸を出奔
それから三年、小田原の親分(進藤英太郎)の元でやくざをしながら10両を貯め、晴れて江戸へ帰ろうとする半太郎、そんな時に身を投げようとしている女郎おなか(丘さとみ)と出会う、、、

東映時代劇すっごい好き!大川橋蔵も丘さとみも、悪役進藤英太郎も、脇役多々良純や田中春男、さらに脇役原健策や徳大寺伸までも顔なじみでみんな好き!
でも時代劇のジャンルでも任侠系、股旅系はなんか避けがち、あまり好きじゃなくて、その点ではこの作品あまり期待していなかったんです

で、実際見てみたらめっちゃいいじゃないですかコレ!
泣いてはいないけどw泣ける作品だと思う、娯楽作品って感じじゃなく大真面目なストーリーだったのも意外
中身全然覚えてないけど「瞼の母」「沓掛時次郎」とかのテイストかも?
って軽く調べたら原作者が長谷川伸で同じじゃん!ってことはそもそも原作の出来が良いと見た!

ストーリーはおいといて、まず出演者について
主演は大川橋蔵と丘さとみのダブル主演と言っていいと思う
橋蔵はいつもと違って化粧薄めのリアリティ路線、でもやっぱり橋蔵らしく清潔でプラトニックなのが良い!
そして丘さとみ!正直この作品も彼女目当てに見たくらい好きなんです、出演作もそれなりに見てると思うんだけど、その中でもベスト演技!って思う

男にいいようにされる女郎生活に身も心もボロボロになって、髪は乱れ、表情は乏しく、伏目がちで生気がなく、身を投げようとまでしている中で半太郎と出会う

半太郎だけは他の男とは違った、何の見返りも要求せず命を助けてくれて、さらには大事な10両も自分のために使ってくれた(でも自由は得られず)
半太郎の負担になることは承知の上で足抜けをし、一緒について行く

この作品の丘さとみはほとんど笑わないの、表情が乏しくいまにも消えちゃいそうで、、、もうほっとけない感が凄い!助けてあげたい、守ってあげたくなっちゃう!

追っ手に追われながら逃亡する日々、半太郎の幼馴染長門裕之の助けでなんとか落ち着くんだけど、丘さとみは長年の苦労もあって病気で倒れちゃう

そんな状況で半太郎に泣きながら謝る丘さとみのシーンが凄い響いてくる
出会わなきゃ良かった、追いかけなきゃ良かった、足手まといばかりで何もしてあげられない、こんなの女房じゃない、あなたがかわいそうって泣きじゃくるの
ここのシーンの丘さとみ良かったわー、切なすぎでしょー

沢島忠作品とか娯楽作品でのコメディエンヌな丘さとみもツンツンぶりや笑顔がかわいくて好きなんだけど
こういう悲劇ものな丘さとみも素晴らしいね、錦ちゃんの森の石松の相手役でもこういうのあった気がする

他の出演者では、逃亡の道中手助けをしてくれるのが河原崎長一郎と長門裕之、おいしい役だと思う、好感度アップw
悪役陣では出番はそんなにないんだけど菅貫太郎が目を引いた、シャープで妙な色気存在感がある
進藤英太郎は出番序盤だけであまり目立たず

とにかく主演2人の熱演!切なく悲しい悲劇がより2人を美しく見せてため息が出るくらい良かったです!
らんらん

らんらん