最近、フランスが舞台の映画を観るようになった。
きちんと言うと観られるようになった、という方が正しいのかもしれない。
というのも、僕の母親はフランスで亡くなった。
母危篤、すぐフランスに来い。
一報を受けた時、僕は京都旅行の真っ最中だった。
京都→東京→自宅→フランスへの猶予が6時間ほどしかなかった。
あの時のバタバタは今でも覚えている。
到着し、会った翌日に母は亡くなった。
フランスで葬儀を上げて火葬して遺骨を持って日本へ帰る。
そんな経験をした人はなかなかいないと思う。
以来、フランスとは縁遠くなってしまった。
それから年月が経ち、やっと向き合えるようになったのかもしれない。
時間はかかっても前へ進める。
そう確信した時に、またフランスの地を踏めるのだろう。
忘れる事で踏み出せる一歩。
でも忘れたくないから踏み出せない一歩。
人生はいつも記憶に縛られている。