喜連川風連

ミッドナイト・イン・パリの喜連川風連のレビュー・感想・評価

ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)
4.0
1920年代。
狂乱のパリ。二つの大きな戦争の間に咲いた芸術家たちの時代になぜか心を寄せてしまう。
自分にとっては心地の良い郷愁をそそるワードである華の20年代。

愛と欲望と雨が渦巻くパリ。

過去に憧れを持つ小説家志望の夫と
現在を堅実に生きようとする妻。

当然2人は衝突する。

過去に逃げる夫。
(憧れの1920年代にタイムスリップする)
そこで、彼はヘミングウェイやフィッツジェラルド、ピカソといった芸術家たちに出会う。

だが、憧れの時代にいるはずの彼らは口々に1890年代(ベルエポック)の時代がパリの黄金期だと語る。

物語最終盤1890年代にタイムスリップした主人公らはゴーギャン、マネらと出会う。
だが、1890年代の芸術家たちはルネサンス期こそ至上だと語る。

そこで主人公は気づく。
そしてこの映画一番の名セリフを発する。

「『現在』って不満なものなんだ。それが人生だから。何か価値あるものを書こうと思ったら幻想は捨てるべきなんだ。過去への憧れもその一つだ」と。

そして、1920年代の象徴たる美人
アドリアナと別れ、
物語はピリオドを打つ。

映画も幻想だ。
夢や理想を求めて、現実から逃れるために、劇場を訪れる人も多いだろう。
私もその1人だ。
その喉元に刃を突きつけて、なんとも
ヒヤリとした感触を残した映画だった。



追伸
アドリアナ(マリオン・コティヤール)の色気に心が終始ざわめいていた。
(目が俯いたかと思うと、上目遣い)
あれだけ暖色の明かりが似合う女優さんがいるだろうか。。。
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