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眠狂四郎 女地獄のkojikojiのレビュー・感想・評価

眠狂四郎 女地獄(1968年製作の映画)
3.7
眠狂四郎第10作
手違いがあって、順序が逆になったことはお詫びしよう。(狂四郎風に…)

田村高広、伊藤雄之助、小沢栄太郎豪華3人がゲスト出演。
これまでの配役を考えると、ちょっと異例の豪華俳優陣。いやがうえにも盛り上がる。
シリーズ第10作の記念作品にしようとしたのか。

 ところが、これだけの俳優人をうまく活用できていないため、何か「空回り」してるように感じてしまう。
 確かに伊藤雄之助も田村高広もそれぞれの個性に合った役柄で、十分その魅力は見せているものの、役自体が狂四郎に直接対峙していないため、どうみても不発に終わった感が否めない。

#1349
2023年 383本目
1968年 大映映画
監督:田中徳三
眠狂四郎第一作の監督。
脚本:高岩肇
第10作、第12作の脚本

 旅の途中、眠狂四郎は何者かに襲われた密使から、しぼりの手絡を受取った。狂四郎は、密書とは知らずに、手絡を角兵衛獅子のおちかに与える。しかしそれが原因でおちかは殺されてしまう。このことから、狂四郎は佐伯藩国家老堀采女正と、城代家老稲田外記の権力争いの渦中に巻き込まれてしまう。

 采女正派には甚内(伊藤雄之助)が外記派には辰馬(田村高広)が用心棒のような形でついている。
 ところが「采女正」と「おちか」、「辰馬」には複雑な過去があった。このことを最初に知るのが狂四郎なのだ。
 両派の争いは、この3人の関係が絡みながら展開していく。なかなか結構面白いストーリーだ。

 ストレーリーはシリーズの中でも面白い方、しかもゲストも豊富、だがゲストの役柄から、円月殺法は不発に終わる。狂四郎はこのシリーズの中で初めて円月殺法で人を切らない。
 狂四郎の美しい円月殺法が見たいと思っている私のようなファンには、非常に残念な映画だった。
 しかし、ラスト、雪が降り続く中での狂四郎と采女正配下との死闘は、シリーズ中屈指の美しさだ。雷蔵に鬼気迫るものを感じる。


🟣狂四郎の印象的な冴えた言葉は、今回は短くて多発。 
 ただし、女に対する言葉が多い。

⚫︎宿に飛び込んで来た渚まゆみ演ずる「しのぶ」に狂四郎は仇討ちの手助けをしてほしいと頼まれる。その時狂四郎は
狂四郎「どうしても仇を撃ちたいと言われるのか」
しのぶ「はい」
狂四郎「そのためにはどのようになっても厭わぬと申されるのか?」
しのぶ「はい」
狂四郎「では、操を頂こう」
(しのぶを裸にして)
狂四郎「男に抱かれたかどうか、身体は嘘はつけん 一皮剥けばドサ回りの役者ぐらいがオチだろう」

⚫︎水谷八重子が演ずる采女正の女お園が狂四郎に言い寄って来た時、狂四郎は言う。
「今日を抱くことが明日を約束するとは限らん
 俺に近づいた女は一人残らず不幸になった」
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