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眠狂四郎 女地獄のcatmanのレビュー・感想・評価

眠狂四郎 女地獄(1968年製作の映画)
4.0
1968年公開、シリーズ10作目。例によってタイトルと内容が合致しない大映のプログラムピクチャー。

本作は俳優陣が豪華。狂四郎に対峙する宿敵、腕利きの酔いどれ貧乏浪人に個性派・伊藤雄之助、そして悲壮なバックグラウンドを持つ若き剣豪に有田上等兵殿・田村高廣。このキャラクターがはっきり異なる3人によるトライアングルの構図が良い。悪役はお馴染み安部徹そして小沢栄太郎、こいつらがまた実に憎々しい。女優陣は、毎度艶っぽい水谷八重子、チョイ役ながらやっぱり美しい渚ようこ、高田美和はなんかよく分からない役所だけど可愛いからまぁ良し。兎に角どの役者にも存在感があるので映画全体が豊かで楽しくなる。
アングル、色彩、照明、美術に拘った大映らしい画作りは相変わらず冴えていて、特に雷蔵の横顔を捉える室内の決めカットが美しい。霧が立ち込める木立や降りしきる雪の中で展開される殺陣にも印象的なショットが満載。例によってマカロニ風味のギターが印象的な渡辺岳夫の音楽もナイスだし、全体を通してハードボイルドタッチなのも好み。

DVD特典の田中徳三監督のインタビューでは雷蔵や大映に関する興味深い話が沢山聞ける。
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