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ネバー・サレンダー 肉弾凶器のbackpackerのレビュー・感想・評価

2.0
DC映画『スーサイド・スクワッド"極"悪党、集結』のピースメーカーがはまり役となった、WWEスターレスラーであるジョン・シナの、映画初出演作品。

ーーー【あらすじ】ーーー
海兵隊員のジョン・トライトンは、命令を無視して捕虜の救出をした結果、除隊させられてしまった。
正義感の強さが仇となって、再就職先も解雇され消沈するジョン。
そんな彼を元気づけたい妻ケイトの提案で旅行に出た二人だったが、偶然逃走中の宝石強盗団と遭遇し、ケイトが人質として連れ去られてしまう。
ジョンはケイトを取り戻すため、怒りの追跡を開始するのだった……。
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WWEの映画製作部門"WWEスタジオ"によって作られた本作は、公開10週で興行収入1,870万ドルをたたき出しました。ジョン・シナの人気のほどが伺えますね。
本作以降『ネバー・サレンダー(原題:THE MARINE)』はシリーズ化し、邦題の後半の「肉弾〇〇」を変えながら、2018年までに計6作も作られています。WWEスタジオの持ち味である「所属レスラーを俳優として起用」しているので、WWE好きな人にはありがたいシリーズかもしれませんね。
(なお、3作目の『肉弾無双』からは、マイク・“ザ・ミズ”・ミザニンが固定主人公となります。)

「攫われた大切な人を取り戻すために戦う」という鉄板の構造なので、つまらないことはないのですが、これといった特色もないため、パッとしない作品だなあというのが正直なところ。

・絶妙に緊張感の薄い画作り
→グレーディングがやたらと明るいせいか、安っぽさというか、連続ドラマっぽいというか……。
・行き当たりばったりな展開
→ジョン側は後手に回る追跡という立場故とはいえ、強盗団側も短絡的な行動が多く、常にその場しのぎ的……。
・本筋に何ら関係ない人物設定
→人物の描きこみは、人によって濃かったり薄かったり全くなかったりします。尺を割いて語られるのは、「幼少期の性的トラウマが人格形成に影響した」という話です。そのトラウマにまつわるアイテムとして、氷砂糖がどうのこうのという話をするのですが、人物の深掘りには結びつかず、かえって薄っぺら度が増しています。氷砂糖、マクガフィンにすらなってない……。
・物語の推進力にはならない大迫力の爆発
→ガソリンをたんまりと使った大爆発が、中盤と終盤にありますが、驚くほどその爆発に意味がないんですよね。ただただ派手なだけ。
・いらない展開で冗長さの嵩増し
→ヤクの密売人に捕まって仕方なくぶちのめすシーン等、丸ごと不要なシーンが何の脈絡もなく入り込みます。意図はどこにあるのか、さっぱりわかりません。

勿論、これはWWEの映画なわけですから、ジョン・シナの肉体美を見せればそれで十分なのかもしれないのですが、マチズモ溢れる筋肉描写が、アクション展開突入後は随分トーンダウンします。殴り合いもカメラワークがわかりにくいので、どうもチグハグな印象です。

その他、スピード感あるようでないカーチェイス、主人公が何もせずとも仲間割れで数を減らす敵、役立たずな警察描写の気持ち程度のインサート等、実にいらん事ばかり詰め込んだ感じで、昔見た時よりはるかに退屈な印象を受けました。ロバート・パトリックの悪人面も活かされてませんし、T2の下りは楽屋ネタ感が漂いすぎて若干不快……。

とりあえず、超暇なときにキルタイムするには十分すぎるほどなので、それに合致する場合見たらバッチリかもしれませんよ!
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