スローモーション男

青春の蹉跌のスローモーション男のレビュー・感想・評価

青春の蹉跌(1974年製作の映画)
4.5
 神代辰巳が東宝で撮った青春映画。
監督神代辰巳×脚本長谷川和彦×主演萩原健一、桃井かおり×撮影姫田真佐久という1970年代の日本映画を代表する映画人たちが作ったすごい映画です!

 学生運動の夢破れた主人公が家庭教師のバイトで知り合った教え子と肉体関係になり子供を孕ませてしまう。煮え切らない二人はやがて崩壊していく。
 令嬢の娘と清楚な付き合いをしながら、教え子と肉体関係になるショーケンは神代映画の典型的なダメ男。また、ダメなことを分かっているのにまったく改善しようとしない。子供を堕ろそうとするほど身勝手。

 この感じは後の『青春の殺人者』にも色濃く反映され長谷川和彦の源流にもなる。
 何よりクライマックスの雪山での長回しがすごい。ショーケンと桃井かおりが滑落していく様はまさに若者の崩壊を表現し、裏切って山を登るショーケンが最後には強者となる。しかし、全てが終わるのだった。
 なんかバックの音楽が印象的でギターが悲劇を増す。

 この時代の若者のやるせなさが見事に反映された映画です。