真田ピロシキ

伊賀忍法帖の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

伊賀忍法帖(1982年製作の映画)
2.8
モーコンで感動したので真田広之さんの昔を振り返る第3弾。見よう見ようと思いながらもなかなか進まずいつの間にか角川チャンネル格安期間の期限間近になってしまった。本作はタイトルから察せられるように山田風太郎が原作。読んではいないが奇怪な妖僧5人が敵として立ち塞がり、拉致してきた女の周りをぐるりぐるりと取り囲み、アクロバティック自害を更にスーパーマンさながらに飛んで阻み、それでも隠し持っていた苦無で首を落とされたら他の女の首を刎ねて体を取り替える妖しさは山風ワールド。その際には首を逆にくっつけてしまうという見世物感覚甚だしい演出。血は馬鹿馬鹿しい程に吹き出していて、刎ねた時の出血で首に乗った帽子が空を舞う悪趣味さに笑えてくる。

妖僧軍団の能力は口からばっちそうな窒息性の粘液を吐き出し、死者を蘇らせ、体の色んな所から針を撃ち出し、シンプルに怪力を誇り、鎌ブーメランに女体への変身と様々。山風で復活と言うと薬師寺天膳を思い出すがあんなインチキとは違って自分が死んだら治せずその割に前線に出るので果心居士若しくは松永久秀の人材運用には疑問を覚える。このヒーラーを演じているのは福本清三なのが斬られ役として有名になった後の世の人間から見ると面白い。個性豊かなのは良いのだがCGなんてない時代の映画なので例えば針を発射しながら役者のアクションを撮る事は出来なくて、動く→針を撃つ→動くという風にカットで演出されているため現代視点ではあまり面白くはない。ストロング金剛の怪力ぶりなら特殊技術なしでも撮れそうだが、これもそれほど肉弾戦を見せてはくれず、編集でめっちゃ遠くまで投げた事を表現されていた。広之さんのアクションを期待してみたのに個性的な敵ではそれはあまり見られなくて、クライマックスで普通の人間相手に戦ってる時の方が需要に応えてくれていた。炎上する東大寺大仏殿での戦いなどは流石に金をかける角川映画といった感じで、特に炎の後ろで激闘を繰り広げる絵面はよく見えないけどカッコいい。

話は正直少し眠かったのであまり追えていない。特に篝火と双子の姉である右京太夫と顔だけ入れ替えた鬼火の一人三役がややこしくて困る。演じた渡辺典子は本作が初演技というのは凄い。原作でもそうなのかもしれないが、松永久秀を平蜘蛛ボンバーマンする前に殺しているのが史実シールドを破壊してでも悪い奴はぶっ殺す『柳生一族の陰謀』的マインドを感じさせる。松永久秀がそんな悪い奴なのかは分からないが。終わってみるとラブストーリー。その割に前述したようにキッチュな演出が多いので噛み合っていたかは怪しい。