湯っ子

ブルーベルベットの湯っ子のレビュー・感想・評価

ブルーベルベット(1986年製作の映画)
3.6
90年代頃、石川美千花のイラストエッセイ「勝手にシネマ」が大好きでした。その中で知ったこの作品を当時観たはずなんだけど、ほとんど覚えておらず。ただ、チューリップが乱れ咲きしている様を見るたびに「ブルーベルベット」の曲が脳内再生される現象はずっとありました。
再鑑賞して感じたのは、正直言って「雑だな…」という印象。自分のやりたいこと描きたいこと全てを詰め込んだ「イレイザーヘッド」の混沌と、この前に観た「ロスト・ハイウェイ」の洗練の中間という感じ。リンチのドキュメンタリーを観た後だったので、「あのエピソードがここで…!」みたいな楽しさはありました。

主人公はダークな世界に興味を惹かれつつも、社交性もちゃんとあって、リンチ本人みたい。お店の従業員だったか?白杖のおじいさんと「やあ〇〇!これ何本?(指を4本示す)」と声をかけ、おじいさんが「4本だよ」と答え、「さすがだ!」と笑うシーンが大好き(伝わるかしら)。ハッピーなラストなのにどことなく不穏なのも良かった。あと、「勝手にシネマ」で「ローラ・ダーンが泣くと口が輪ゴムみたいにグニャグニャになる」とあったのをよく覚えてたんだけど、本当にその通りだった。輪ゴムもだけど、般若のお面の口とも似てるなぁ思ったり。などなど、あんまりストーリーと関係ないところばかりが印象に残りました。
湯っ子

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