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ブルーベルベットのtakeitのレビュー・感想・評価

ブルーベルベット(1986年製作の映画)
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『エデンより彼方に』がダグラスサークへの再解釈だったら、これは『理由なき反抗』に対するそれに見える
車で学校に乗りつけるとことか人気者っぽいやつのヒロイン取るとか、ナイフとか典型的アメリカ郊外住宅とか、最後ら辺の包囲網とかね
しかしそこにハリウッドが受け入れつつ(視覚的快楽、窃視)隠してきた(ヘイズコード)性を導入するのがいいね
アメフト部のマイクとの典型的なホモソーシャル喧嘩が始まるかと思ったら、まさに侵犯的なドロシーが出てくるのがね
サンディ=快感原則にコントロールされてる安全な気持ちよさ、秩序ある快に対して、ドロシーはもはや現実界に近い、死の欲動真っ只中、享楽を味わわせてくれる人に見えた
それだけにあのラストは、なんでも自明に見えるハリウッドイデオロギーの恐ろしさをうまく異化していると思う
繰り返されるサイレンとか炎のショットも気になる
炎はゆらめいて美しいけど、その中に突っ込むと死んじゃうという享楽的な感じ
クィアな人々のプレゼンスもスクリーンから抑圧されてきた者たちの回帰という感じなのかな
マルヴィの批判をまんま持ってきたかのようなドロシーの家での窃視症的なシーンは、逆に女性が男性を客体にする場面につながるし転倒があって面白い。
フランクも過剰な男らしさを皮肉った人物っぽいし、いろいろ再解釈としてよき
スローモーションやゴア描写も『俺たちに明日はない』とかペキンパーとかの、黒澤明を踏まえてハリウッド主流のスタイルを超えようとした作家へのリスペクトかなと
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