ウディ・アレン流の肩の力を抜いて鑑賞できるミュージカル映画。とにかくミュージカルシーンが楽しい。あえて歌唱力が普通の役者を揃えているため、自然な雰囲気に仕上がっている。だがダンスや構図などの演出にはこだわりが見られ、観ていて飽きないエンタメ性の高いミュージカルシーンが繰り広げられる。
ストーリーは人間の滑稽さを描いたウディ・アレンらしい内容。ただあまりにとりとめがなく登場人物も多いことから話が分散してしまっているので、もうちょっとまとめられればより良かったと思う。それぞれのエピソードは馬鹿馬鹿しさの中に人間の愚かさがアイロニカルに描かれていて嫌いじゃない。好きな女の気を引くためにカウンセリング情報を利用しちゃう中年男とか、慈善事業で連れてきた元受刑者に娘が惚れてしまって焦る金持ち育ちの中年女とか、危険な男に夢を見るが実際にやばいやつだとわかるとあっさりと元の冴えない男のもとに戻ってくる娘とか。ただどれも割と描き方があっさりしていたので、ウディ・アレン映画にしてはちょっと物足りなく感じてしまった。
まだ若手だった有名俳優がたくさん出ているので、そういう観点でも結構楽しめるかも。
