広島カップ

釣りキチ三平の広島カップのレビュー・感想・評価

釣りキチ三平(2009年製作の映画)
3.8
ニコニコしながら観れる魚釣り映画の秀作です。

私が小学生の頃に少年マガジンでよく読んでいた釣り漫画の先駆け「釣りキチ三平」の実写版。もっと早くに映画になってもよさそうな漫画だったのに随分と遅いなぁ(2009年製作)という感じがします。
滝田洋二郎監督は私よりも少し上の世代で富山県出身。おそらく本作を貫ぬいている釣りの面白さや自然の素晴らしさについて子供の頃に感覚的に身に染み付いていたのではないか?という作品の出来映え。そうでないとコレだけ秋田の山河の美しさは描けないと思います。

「三ちゃん、また釣りか?」と道ですれ違う近所のおじさんに声を掛けられる三平少年は、ボールを握らない日は無い野球大好き大谷翔平と同じく根っから釣り好き少年で釣竿を手にしない日ない。
そんな彼が秋田の山奥の秘境「夜泣谷」に棲む1.5mオーバーのヤマメに挑む物語。

本作をニコニコしながら観れるのにはいくつか理由があります。
先ずなんといっても好きなものに没頭している少年がいつもニコニコしているところ。
これにはコチラの頬も自然と緩んでしまいます。オゾンたっぷりの美しい川沿いの釣行をニコニコの三ちゃんが行く場面は観ていて自然と嬉しくなります。
次に彼が魚を愛しているのがよく分かるところ。
アメリカ帰りのバス釣り師が釣った魚をリリースしているのに対して三ちゃんは残さず食べます。キャッチ&イートというのは命を大切にしている証拠。魚をオモチャではなく命として接している彼の魚への愛情を感じてニコニコしてしまいます。

本作に一つだけ注文をつけるとすると、釣りのエピソードが秘境のヤマメ釣りと鮎釣りの二つだけだったところ。少し長くなってもいいから、もう一つ二つ欲しかったと思います。
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