休暇を貰った少年兵が戦場を後にする際、仲間から家族への贈り物を託されたり駅での人助けなど、人間味溢れるシーンの蓄積が足枷となっていく。
少女との恋が悲惨さを中和しているが本作の真の主題は反戦でも自己犠牲でもない、「干渉すること」であるように思う。戦時下ゆえ他人に関与する暇などない一見冷酷な人々こそ現実で、それを見過ごすことのできない主人公だけがフィクションとして輝いている。
どれほど逼迫した状況に置かれても見つめ合うというメロドラマ的な視線を失わないのもハリウッドより慎ましい。一本道がこの映画のためにあるとしか思えないのも凄いし、外界というか現世とを隔てた三途の川にも見える。