odyss

アンカーウーマンのodyssのレビュー・感想・評価

アンカーウーマン(1996年製作の映画)
3.5
【ミシェル・ファイファーの「マイ・フェア・レディ」】

ミシェル・ファイファーをスクリーンで初めて見たのは、「恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」(1989年)だった。日本でも或る程度ヒットした作品で、したがって彼女が日本の映画ファンに広く知られるようになったのもこの映画によるところが大きかったと思う。

その後、彼女の登場する作品はいくつか見たけれど、「恋のゆくえ」を越えるものには出会わなかった。しかし今回、ロードショウでは見逃していたこの「アンカーウーマン」を見て、結構これも悪くないなと認識を新たにした。

これは、基本的に「マイ・フェア・レディ」のお話である。学歴も学識もさほどでない若い女性が、放送局に願書を出しまくって一局でのみ採用され、そこで年長のプロデューサーと出会い、彼に放送ジャーナリストとしての基礎と気構えとをたたき込まれていく物語であって、つまり若い女が年長の男に仕込まれていく、というタイプのお話だからだ。そして仕込んだ先が両者の恋愛であるところも同じ。

この映画でのミシェル・ファイファーの微妙な変身ぶりが、「マイ・フェア・レディ」的な物語にうまくマッチしている。髪を途中で短めにするとか、服装が洗練されてくるとかいったことに加え、不思議なことに物語が進むにつれて彼女は美しくなってくる。うーん、見事だ。しかも、日本にありがちなお飾り的女子アナではなく、危険な現場にも入っていく突撃レポーター的な根性も身につけて行くところが、見どころ。

年長のプロデューサー役のレッドフォードは、イマイチかな。この人、職業的な厳しさが雰囲気として伝わってこない。二枚目だけど、二枚目というところからはみ出すものがないから。彼のファンにはいいだろうけど。

原作は実在した女性アンカーをモデルにしているそう。アメリカ放送界の実情の一端がうかがえる作品。
odyss

odyss