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栄光への挑戦のcsmのレビュー・感想・評価

栄光への挑戦(1966年製作の映画)
5.0
いわゆる芳香剤なのだろう「トイレを香水の香りで満たす、これは当たりました」ナレーションが嬉しいボクサーから不動産王へ駆け上る裕次郎=宗吾郎一代記を紹介する始まりだけで最高。磨かれたエレベーターで地下駐車場から最上階のオフィスへ、各階へ光るムネの目が塵ひとつ許さない。私はムネだのひと言で事件現場へ、売春用顔見せアルバムに苦い顔。銀座を日本の玄関にするというムネならではの斬新なアイデアを前に立ち往生。早朝の街を走る若いボクサーに己を重ねるムネ、夜から朝へ24時間戦う彼に休む暇などない。稲野和子も覚えてる20万超えロレックス追って中華街でハイランドクイーン、やけに出てくると思ったらタイアップ。宗吾郎はいない、死んだ!しかしこれは涙ではない。雨の中無意識にルリ子の部屋へ向かい、濡れた服を誇らしげに脱がされガウン羽織って抱擁、白光するルリ子と黒光りするムネ。早朝の濡れた代々木を颯爽と歩く彼の頭にはもう新たなアイデアが浮かんでいた。営業停止を逆手にとってお客様感謝デー、サウナ風呂でビルダー。殴られ刑事の桂樹、活躍しすぎる武藤章生運転手へのコツン、高山千草の深夜食堂には高品格、アイスパレスに車突っ込んで転がる人々。最後にムネが手にしたもの、それは愛だった。
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