「毎晩がスリルの連続よ」というセリフがあるけれど、毎晩どころか毎秒が「スリル」の連続のような作品で、全体を貫く説明不能な「緊張感」は説明不能なユーモアとあいまって、これはいったい何が何なのか何を見ているのかを不意に見失ってしまうような「突然」の連続ばかりで、かと思えば逆光の砂浜の上をドタバタと走る四人の姿に理由もなく落涙してしまったり。
突如始まるお芝居風なお遊びも、うなぎの恐怖も、すらりと伸びる足も、階段の上り下りも、「オルエット」という響きだけで爆笑する姿も、不機嫌なジョエルも、囁き声と波の音も、何もかも何度見ても全部が大好き作品。
ここから何が起こってもおかしくはなく、何もかもが終わってしまったあとのようなそんな物語。