中野シネマ

ひかりのおとの中野シネマのレビュー・感想・評価

ひかりのおと(2011年製作の映画)
4.3
実家を継ぐために戻ってきた若き酪農家の話。田舎の問題やリアルを見事に切り取った描写。

音楽を取るか酪農をとるか。
主人公にとっては2つの選択肢の間での葛藤。主人公の恋人にとっては、死別した夫の家を取るか、新しい道を歩んでいくか。主人公のおじにとっては、過去に酪農家として事業拡大を選択し失敗、そして今生きるか死ぬかの選択肢。それぞれが抱く選択肢の中での葛藤。

今の世の中は、餅は餅屋でひとつのことに一生懸命になるのがわかりやすい形だから、無理に選ぶという作業が必要になってくる。
選ぶのではなく、折り合いをつける。
結婚するという事務手続きをせずに、一緒にそこに“いる”ということ。

自分の置かれている現状や、これまでの人生の経験によって感じることが、人によって全く違うからおもしろい。いろんな角度からの見方を持たせた監督はすごい。
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